先日、“へんないきもの”好きのワクワクがノンストップになるニュースが飛び込んでまいりました。体長約30センチメートルもの「ヨコエビ」が見つかったというではありませんか。
南太平洋深海で発見、超巨大な端脚類(ナショナルジオグラフィック)
通常、ヨコエビの大きさはおおよそ数ミリから数センチで、今回見つかったものはその10倍以上。「深海 巨大」というキーワードだけで脊髄反射してしまう数寄者たちの琴線をビンビンと刺激する存在です、はい。
実際のところヨコエビ自体はたいして珍しい生き物でもなく、というかむしろありふれた生き物で、深海どころか浜辺や川など至るところにいます。たとえば、打ち上げられた海草を引っくり返せばヨコエビたちがぴょんぴょん飛び跳ねますし、波と浜の境目あたりを軽く掘り返すだけでも簡単に見つけることができます。
◎海水浴に行ったことがあるなら、すでに無数のヨコエビを踏みつけてきたはず
Photographer: Jan HolmesRights holder: Jan Holmes http://eolspecies.lifedesks.org/node/1212
さて、深海に棲む生き物は、時に謎の巨大化を果たすことが知られています。有名なものではダイオウイカやダイオウグソクムシ、たまに浜に打ち上げられて話題になるリュウグウノツカイのほか、タカアシガニ、ある種の深海サメや深海エイなどにも巨大化するものがいて、こうした巨大化は「Deep sea gigantism」とも呼ばれます。
◎ダイオウイカ。どう見てもうまくなさそうだし、実際うまくないらしい
Photographer: Don Hurlbert/Smithsonian Institution http://eolspecies.lifedesks.org/node/353
◎大きいもので10メートル以上にもなる
Photo:Natural History Museum, London http://eol.org/data_objects/12486791
◎「深海のダンゴムシ」ことダイオウグソクムシ。ネコと同じくらいのサイズ感
Photo:Public Domain
◎目が怖いよ、目が
Photo:coda http://www.flickr.com/photos/coda/380353/
◎西伊豆の人気者、タカアシガニ。脚を広げると2~3mという世界最大の節足動物
Photo:WIKIMEDIA COMMONS, Auther H.Zell http://bit.ly/wLO0Tf
◎乙姫様からの使者。全長は3mほど
Photo:WIKIMEDIA COMMONS, Auther Sandstein http://bit.ly/x6D9vS
エサの乏しい深海で、その巨体を維持するのは大変そうな気もしますが、どうやらそこは「徹底的に少食」になることで乗り越えているようです。言い換えると、デカい図体の割にはエネルギーを消費しないつくりになっているということですね。
たとえば、ダイオウイカと並んで巨大なイカとして知られるダイオウホウズキイカは、エサとなる大型魚1匹だけで200日ほどの絶食に耐えられると考えられています。また、鳥羽水族館のスタッフによるブログでは、ダイオウグソクムシがなんと、
3年1カ月も食事をしていない
ことが書かれています。少食にもほどがある……つか、よく死なねーな、お前っ!
先ほども書いたように深海はとにかくエサが少ない場所。そうした場所ではむやみやたらに動き回ってエネルギーをロスするよりも、ひたすら待ち続けて、いつどこに降ってくるかわからない魚の死骸などがたまたま自分の近くに落ちてくるチャンスに賭けるほうが賢いのでしょう。ダイオウイカでいえば、積極的に泳ぎ回ったりせずにフワフワ漂いながら、たまたま近くを魚が通りかかったときにだけ全力を出す、という生き方が優れているのかもしれません。
以前、新江ノ島水族館でダイオウグソクムシを見たことがありますが、あいつらまーホントにピクリとも動きませんわ。「のんびり焦らず少食で」これが深海という極限環境における、ひとつの生活様式なんでしょうねえ。
最後に。
この生き物がDeep sea gigantismに当てはまるかはわかりませんが、深海で見つかったミズヒキイカというイカについて。ミズヒキイカ(Magnapinna pacifica)は、ダイオウイカのように体全体が大きいわけではないものの、腕だけが糸のように異様に長く伸びており、全長は7メートルにも達するそう(※幼体で)。JAMSTEC(海洋研究開発機構)のサイトにミズヒキイカの映像がありますので、そちらのリンクを張って今回の記事の締めとします。
【映像を見る手順】
1) 下記リンクのキーワード検索窓に「ミズヒキイカ」もしくは「Magnapinna pacifica」と入力して「検索」をクリック。
2) 次に表示される画面のチェックボックスにチェックを入れて、「詳細表示」をクリック。
これで、深海2400mでとらえたミズヒキイカの映像(30秒)を見ることができますヨ。
http://www.godac.jamstec.go.jp/jedi/public/Sec101.jsf (JAMSTEC 深海画像・映像アーカイブス)
※その他、参考書籍・記事
ダイオウグソクムシがエサを食べました(鳥羽水族館 飼育日記)
http://www.aquarium.co.jp/diary/archives/1760
ダイオウホウズキイカの低消費生活(ナショナルジオグラフィック)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100513003&expand
『潜水調査船が観た深海生物 深海生物研究の現在』(藤倉克則、丸山 正、奥谷 喬司・編著/東海大学出版会)
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著者:藤倉 克則
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